1. 目標設定について:自分を動かす技術
こんにちは。今回は「目標設定」について少しお話ししてみたいと思います。
私自身、年始になると個人コーチングの一環として多くの方々の目標設定をサポートする機会があります。この仕事を続ける中で、1年単位でその人の目標設定と達成プロセスを見てきたことで、今では立てられた目標を見ただけで、それが達成されそうな目標かどうか、ある程度見抜けるようになってきました。
もちろん、最初から強い意志を持っていたり、自分に負けたくないストイックな方もいらっしゃいますが、それはあくまで一部の例です。目標設定というのは、根性ではなく「スキル」の領域に入るものだと私は思っています。
2. SMARTの法則を活用する
目標設定のフレームワークとしてよく紹介されるのが「SMARTの法則」です。
これは5つの観点から、実行可能かつ意味のある目標を設計するための有効な考え方です。以下、それぞれについて私の経験も交えて解説します。
2-1. Specific(具体的であること)
「人と仲良くなる」「仕事を頑張る」「お金を貯める」「痩せる」など、よく耳にする目標ですが、これらは抽象的すぎて、実際に何をすべきかを改めて考えなければなりません。そして多くの場合、その「考える」ことが面倒で行動が止まってしまいます。
したがって、計画段階でできる限り具体化し、実行段階では「何も考えずに動ける」ようなレベルまで落とし込むのが理想です。
2-2. Measurable(測定可能であること)
「読書をする」「痩せる」といった目標も、ページ数やキログラムといった具体的な数値を明確にすることで、進捗の実感や達成感を得やすくなります。
たとえば「1冊読む」より「1日10ページ読む」と設定した方が、達成感が日々積み重なりやすくなります。
2-3. Achievable(現実的であること)
これは最初に確認すべきポイントです。経験上、目標設定がうまくできない方の多くは、現実離れした目標を掲げてしまう傾向があります。
たとえば運動習慣がない人が「毎日7時間運動する」と決めても、それを続けるのは極めて困難です。まずは「欲張らない」こと。自分の今の生活リズムや体力に合った目標を選ぶことが鍵です。
2-4. Relevant(関連性があること)
複数の目標がバラバラの方向を向いていると、どこにも力が入らなくなってしまいます。
「今、自分が最も達成したいこと」や「最も必要なこと」を中心に置き、それと関連性の高い目標を周囲に配置することで、1つの努力で複数の成果につながる効率的な構造が生まれます。
2-5. Time-bound(期限があること)
「いつかやる」ではなかなか動き出せません。逆に、急ぎの課題なのに少しずつしか進めない設定になっていることもあります。
「どれだけの時間をかけて」「いつまでに」達成するのかを意識することで、行動にもメリハリが生まれます。
3. 目標は目に見える形で管理する
こうして設定した目標は、可能であれば視覚化しておくことをおすすめします。
私は今は、毎年ビジョンボードを作っていますが、
作り始めた年には、作ったビジョンボードを押し入れの中にしまいこんで存在を忘れていたことがありました。ところが年末にふと見返してみると、その中に書かれていた多くの目標が実現していたことに気づき、とても驚きました。
作成時の「思い」や「イメージ」が強く残っているだけでも、十分な効果があるのだと実感しました。
それ以来、私は毎年作ったビジョンボードはよく見えるところにかけるようにしています。
4. 自分を責めないことも大切
私が個人的に最も大切にしているのが、「目標を達成できなかった自分を責めないこと」です。
特に最初の1年は、自分に合った目標設定の基準を整える「練習期間」と捉えるのが良いと思います。
たとえば「本を10冊読む」と目標を立てて、実際に3冊しか読めなかったとしても、「自分はこの期間で1冊読める力がある」とわかっただけで立派な収穫です。
自分に「よくやったね」と声をかけて、次は4冊や6冊に挑戦すればいいのです。
5. おわりに
目標を立てるという行為は、自分と向き合うための習慣でもあります。
「こんな自分になりたい」という小さな旗印があるだけで、日々の行動が少しずつ変わっていきます。
今回ご紹介した方法が、みなさんの目標設定の参考になれば嬉しいです。
そして、たとえうまくいかなくても、自分を責めず、また新しい一歩を踏み出していきましょう。